第6回 ドイツ人と一緒に働いた記憶
今となっては数十年前の話になりますが、昔、ドイツ人の方と一緒に働いていた頃の話をさせてください。
とある会社に在籍中に他社からヘッドハンティングにて東京の会社に転職し、私は順調に自分のキャリアを構築しておりました。その後に某有名人に納品したB社の商品に問題が発生し、Bという会社と色々とやり取りをしまして、B社の代表は、羽鳥さんの所属している会社はどうやらキチンと対応してくれる会社のようだ、という認識があったように思います。
羽鳥の所属している会社は、【他社よりも少しくらい高く販売しているが、サポートはキチンとしよう。】という方針でした。まあ、その甲斐があって、B社からドイツ系組織団体様への大規模納品の案件を紹介された、というのがドイツ人の方とお知り合いになれたという経緯です。
今回はそのドイツ系組織団体様をDSと表記させてください。DSさんには本当にたくさんのことを学ばせていただき、本当に感謝しております。DSさんに販売するにあたり、その条件は担当者が英語が話せること、この業界を熟知していること、納品後のサポートを行ってくれることでした。
羽鳥としては、まあ、会社の方針も合っていることだし、この案件を受け入れようと思いました。そしてそこからまあ3年間くらい、お取引先としてお付き合いをすることになりました。大変だったことは、すべてのコミュニケーションが英語でやり取りをしなくてはならないこと、弊社と日本のメーカー担当者とのやり取りを服部がすべて通訳をして相手に伝えなくてはならないことです。
順調に納品がなされ、何回かテストチェックも行いましたが、とある日に問題発生。ワイアレス信号の送受信がキチンとなされない可能性があることが判明。原因は、ワイアレス機器の周りに人間と障害物が多すぎる、という理由でした。ワイアレスというのは、送信側と受信側が可能な限り近くなるように設置する、というのが基本中の基本なのですが、相手はまだ素人。DSの担当者は、【マニュアルには100mの送受信が可能である、と書かれてある】の一点張りでした。羽鳥としては、【それは、まったく障害物がない場合には100m程度の送受信が可能である、という意味である】とは伝えたもの、あまり納得していただける気配はありませんでした。こういった点が文化の違い、考え方の違い、になるのかと思いました。
私が思ったこととして、西欧の考え方だと、マニュアルに書かれてあることが完全であり、少しでも違いがあるのであれば、それはいけないことだ。というように受け止めました。日本人的な考えだと、マニュアルの書き方も少々問題があるものの、ある程度は許容する、という概念がどこかしらにあるように思います。最終的にはお相手の担当者に納得してもらえるよう、ワイアレスメーカーの日本代理店の方2名と現地チェックをし、どのくらいの信号が受信されているのか、不良品ではないことを私と担当者と代理店の人とでチェックをして納得してもらえました。
あともう一つ思ったこと。こちらの組織の方々、下記のフレーズをよく使います。【That is not my job….】【I don’t have such a responsibility 】【I have no authorization…】ドイツの組織は細分化されていて、誰の責任なのか、誰の仕事なのか、が明確にされているようです。