第4回 代表者の戯言 ダメ社長について
今まで色々な会社で働き、色々な社長を見てきた。残念なことに私の今までの経験の中で【よい社長】には出会ったことはない。その代わりにたくさんの【ダメな社長】には会ってきた。今後の経営のために【ダメな社長】について言及をし、よい社長、よい経営を検討する判断材料になってくれれば幸いだ。
①最新のテクノロジーを知ろうとしない社長
例えばコンピューターの使い方をよくわかっていない年増な社長。分からないなら分からないなりによい秘書をつけるなどの対応もあるが、それさえもやろうとしない社長など。挙句には「俺は紙派だ。今でも省庁は紙ベースで働いているじゃないか」などといい、自分の無知に開き直っているアホ社長。
②勉強をしない社長
今までうまく経営ができてきたのだから、これからもこの方法で経営ができる、などと思ってしまっている社長も要注意だ。自分はこの業界を知っている。そしてこの業界で名声を上げてきた、と過去の成功体験にすがり、自分は能力があると錯覚し、業界内の最新ニュースに目を向けなくなる。最終的には勉強を怠り、結局は社内システムが時代遅れのものとなる。会社にはIT化、DX化などの社内・社外作業効率化など常に変革していかなければならない課題が山積している。それに率先して社長が舵取りをしなければ最終的には経営が苦しくなるだけだ。
③まわりをイエスマンで固める社長
社長業は孤独で辛いものである。自分の経営手腕が常に全社員から監視され、株主の痛い指摘に悩まされ、一部の心無い人からの誹謗中傷に耐えなくてはならない。自分の判断が大ミスとなり、自分の家族はおろか若手社員の人生も台無しにしてしまう可能性もあろう。一部の社長には、痛い意見から逃れたいあまり、なんでもイエスと言ってくれて、常に自分の意見が合っているものだ、と思いたくなる習性があるようだ。その傾向が強いあまり、副社長、専務、常務、執行役員、営業部長、経理部長、事務部長、秘書、総務部長をすべて一族や自分の派閥で固め、聞きたくない言葉はあらかじめ聞かないことにする。自分の意見に反対するものは平気で別部署に飛ばし、自分のまわりに置かないことにする。その社長は最後には裸の王様となる。そうすれば社長としては一見、社内の問題点を聞く機会がないわけだから社内には問題がない、と錯覚してしまう。ここに大きな間違いがある。本当によい取締役、本当に優れた部下というのは、社内の問題点を吸い上げてそれを助言してくれる社員のことであるはずだ。
④経営が傾くのは社員の力不足のせいだ、と決めてかかる社長
昔、とある会社でアルバイトをしていた頃の話であるが、ある日、営業部長と面談をする機会があった。その営業部長は社内でも相当、評判が悪く、口が悪い、よくわからないことで怒鳴る、話の筋が通らないといった困った人であった。面談中に、ふてくされ気味で溜息をつきながら「売上があがってないんだよ。。。。君のせいだよ」と言われたのを今でも覚えている。私はもう開いた口が塞がらない。思わず「馬鹿じゃねーの」と言いたくなった。売上が上がらないのはアルバイトの責任ではなく、経営者側の責任。なんで末端のアルバイトの責任になるのだ?このように、経営者側は自分には能力がないかもしれない、と思いたくないために、経営がうまくいかないのが自分以外の部分に原因があるようにしたくなるものである。
⑤スピーチが出来ない社長
語彙力がなければ社員や取引先を説得したり交渉したりすることは出来ません。新製品が開発されれば何かしらの形でその商品がいかに優れているのか、他商品と差別化が出来ているのかを取引先やユーザーに説明する機会が出てきます。そのときに説明が下手であってはその商品は(よほど優れたものでなければ)売れることはないでしょう。その他、社内の朝礼であったり普段から社員とのコミュニケーションについても同様です。社内報に関しても同様です。文章力はスピーチ力とかなり似ていますから、「この社長は文章力がないな」と思ったら警戒してください。ただしこの件は、他人と全くコミュニケーションをしなくとも成り立つような、極めて特殊な業界ではあてはまりませんが。
⑥取引先の前で平気で自分の社員を罵る社長
以前、お会いしたことのある方だったのではあるが、S社長がいた。不動産会社の社長であり、まわりの同僚からは要注意人物だとあらかじめ言われていたのではあるが、本当に要注意人物であった。ある日、挨拶でその本社の役員室に向かったのであるが、私と同僚がいる前で、数名の社員を怒鳴り散らしているのである。自分がいかに社内では力があるのか、影響力があるのか、を取引先である私らに知らしめたいのであろうか。御社の社員を採用しているのは最終的にはあなたなのだから、取引先の人間の前で自分の社員を罵っているということは、つまりあなたに人を見る目がないと宣言しているようなものですよ。逆にいい社長は、自社の社員がどれだけ優秀なのか、そして自社には絶対に明るい未来がある、と相手の取引先に自慢できるはずだ。
⑦計画性がない社長
会社は経営計画があって成り立つ。つまり、計画性がない社長というのは最終的には会社の経営にも疎いということになる。例えば今日、取引先のAにお会いするから夜は彼と飲みに行こう、だとか、行き当たりばったりで社員や役員と居酒屋にいったりなど。本当にいい社長は分単位のスケジュールをこなし、遅刻を一切しない。取引先との接待は必要最低限であるはずだ。
⑧法律を遵守しない社長
不当残業をさせる会社、ブラックな会社はいづれ滅びる。どうせバレないからいいや、などと思っている社長はインターネットの口コミや転職会議の影響力を知らないのか、といいたくなる。今となっては当たり前のことだが、若手が企業を選ぶ際には必ず会社の口コミを確認する。そこに「ここはブラックだ」「不当残業がある」「パワハラがある」という記載があるのなら、よほどの事情がない限りその会社を敬遠するだろう。もしもその口コミが数年前のものであり、現在はクリーンな会社になっていたとしても口コミの影響力はその口コミが消去されるまで永遠に残る。優秀でいい若手が欲しいなら、企業側もそれを受け入れるよい企業でなければならないのだ。
⑨管理・監視をしようとしない社長
昔、勤めていた会社の話であるが、倉庫にあるはずの200万円程度の商品がないことに社長が気づいた。しかし、社長は探そうとしない。探すのが面倒だったのかそれともいつか出てくるものだと思っていたのか。ただし、私の中で、なぜ、その商品が倉庫に存在していないのか、ある程度検討はついていた。従業員が勝手に持ち出したのである。そしてその従業員が退社してしまい、ある日の棚卸の際、結局、倉庫内を調べることになったのであるが、出てくるわけがない。倉庫の入出庫管理が適切に管理されているならばこのようなことはないのであるが、それを行おうとしなかった経営者側の責任である。性善説では会社は成り立たない。うちの会社ではこんなことは起きないだろう、などと考えている時点で危機管理意識に乏しいと言わざるを得ない。倉庫には24時間稼働な監視カメラを設置する。物流スタッフ以外は許可なく倉庫に入室禁止、商品が紛失した場合の事前マニュアルの作成など、経営側がやらなくてはならないことが多々あるはずだ。
⑩社員の手柄が社長の手柄のように振る舞う社長
私が過去に勤めていた会社の社長がよく言っていた話である。
・あいつを育てるのに10年かかったんだよ。→それは社長が頑張ったんではなくてその方が努力をしたんです。社長!
・俺があの会社にやらせたんだよ。→そんなこと、誰が信じるんですか?社長!
・俺は今までに5人の社員を独立させているんだよ。→それは社長が独立させたのではなくて、社員が社長の会社に見切りをつけていなくなったんでしょう。社長!
以上、思ったことを書いた。こういったタヌキ社長には気を付けてほしい。また、ぜひ今後の経営の参考にしてほしい。